このフレーズのルーツを辿ると、1970年代後半から1980年代にかけての南カリフォルニアを中心としたエクストリームスポーツ文化に行き着きます。当時、危険なビッグウェーブに挑むサーファーや、過激なトリックを競い合うスケートボーダー、モトクロスレーサーたちの間で、「命がけの危険な挑戦に本気で飛び込めないチキン(臆病者)は、安全な自宅のベッドへ帰れ」という煽り文句として使われ始めたのが定説です。
その後、1990年代以降にNBAなどのプロスポーツ界やヒップホップカルチャーへ流入。そして、このフレーズを世界的なポップカルチャーのアンセムへと押し上げた決定打が、2015年公開の大ヒット映画『ワイルド・スピード SKY MISSION(原題:Furious 7)』の挿入歌として制作された楽曲「Go Hard or Go Home」(Wiz Khalifa & Iggy Azalea)でした。
劇中の超人的なカーアクションとポール・ウォーカーへの追悼が世界中で社会現象となる中、ウィズ・カリファとイギー・アゼリアによる重厚なビートと「I feel like the sky might fall down / Ain't scared, giving it my all when I'm on now / I go hard or go home(空が落ちてこようと恐れはしない、全てを捧げる、全力で行くか家へ帰るかだ)」という歌詞は、逆境に立ち向かう人々のアンセムとして強烈なインパクトを残しました。このタイアップを契機に、英語圏のみならず日本をはじめとする非英語圏のリスナー層にも「究極の覚悟を示すフレーズ」として急速に浸透していった背景があります。