ハラさんの死後、遺族の間で発生した遺産相続トラブルは、韓国社会の法的不備を浮き彫りにしました。
ハラさんが9歳、兄のク・ホイン氏が11歳のときに家を出て行き、約20年間にわたり養育費も払わず音信不通だった実母が、葬儀場に突如弁護士を伴って現れ、遺産の半分(50%)を要求したのです。実母は葬儀の場で弔問に訪れた芸能人に写真撮影をねだるなど、常軌を逸した振る舞いに及んだと報じられています。
当時の韓国民法第1004条では、相続権を失う要件として「被相続人に対する殺害や遺言書の偽造」など極端な事由しか定められておらず、どれほど悪質なネグレクトであっても血縁上の親であれば一律に法定相続権が認められていました。
兄のホイン氏はメディアのインタビューで次のように語り、血の滲むような法廷闘争を開始しました。
「妹が一生をかけて流した血と汗の結晶を、親としての責任を一切果たさなかった人間が奪うことを、天国のハラが許すはずがありません」
ホイン氏が国会に提出した立法請願「ク・ハラ法(民法改正案)」は瞬く間に10万人以上の賛同を集めました。一度は廃案の危機に瀕したものの、粘り強い運動の結果、2026年8月28日に韓国国会本会議で賛成多数により可決。養育義務を著しく怠った親や、重大な虐待を行った親の相続権を家庭裁判所の審判によって剥奪できる新制度が成立し、2026年より実効的な適用が始まっています。