吉原という空間が放つ魔力は、その後も日本映画界を刺激し続けた。1987年に公開された名作『吉原炎上』は、女たちの愛憎と生存競争を圧倒的なエネルギーで描き出し、時代劇サスペンスの新たな金字塔となった。過激な描写の奥底にあるのは、隔離された街でしか生きられない人々の悲哀と渇望である。
当時の映画産業は、タブーを恐れずに人間の生々しい本能を描き切る熱量を宿していた。『吉原炎上』が提示した絢爛たる映像美と破滅の美学は、かつて実際に起きた数々の事件のリアリティを現代に蘇らせ、観客に人間の業の深さをまざまざと見せつけたのである。