1993年、安定した取締役の地位を捨てて立ち上げた幻冬舎の旗揚げは、日本の出版界における革命だった。新聞全面広告を打った創刊ラインナップ6冊の一斉発売。それは既存の流通慣行や出版界の「お上品なルール」に対する挑戦状にほかならなかった。
文芸書、ビジネス書、タレント本、思想書——ジャンルの垣根を軽々と飛び越え、「売れるもの」ではなく「時代のマグマを体現するもの」を提示し続けた。批判やバッシングを恐れず、むしろそれをエネルギーに変えていくタフネス。幻冬舎という一企業は、彼という個人の「熱狂の磁場」そのものとして機能してきたと言える。