平面のイラストであれば「二次元の嘘」で成立するデザインも、360度どこからでも鑑賞される立体フィギュアや3DCGの世界では、極めて困難な技術的障壁となって立ちはだかりました。
メディコム・トイの「UDF(ULTRA DETAIL FIGURE)」シリーズや海洋堂のカプセルトイ造形において、プロの原型師たちはスネ夫の立体化に際して緻密な空間計算を行っています。口先をわずかに突き出しつつ、正面から見た際には極端な不自然さを感じさせず、かつ斜め45度から見た際に原作そのままのシャープなラインを描くよう、ミリ単位の非対称スカルプティング(左右非対称造形)が施されました。
この立体化のパラドックスに究極の解答をもたらしたのが、2014年に公開され日本アカデミー賞最優秀アニメーション作品賞を受賞した3DCG映画『STAND BY ME ドラえもん』(山崎貴・八木竜一共同監督/白組制作)です。
白組のCGモデリングチームは、スネ夫の立体化にあたり膨大な試行錯誤を重ねました。現実の人間のような頭蓋骨ベースにスネ夫の髪型を乗せると違和感が生じるため、前髪の3つの束を「高級ヘアワックスで立体的に立ち上げた毛束」として質感を設定。さらに、カメラアングルに応じて3Dモデルの口の形状や位置をリアルタイムに微調整する「アングル専用モーフターゲット技術」を駆使することで、どの角度からカメラが捉えても違和感なく「我々の知るスネ夫」として認識させることに成功しました。