インターネット上で長年にわたり検証され続けているのが、「崖の上のポニョは死後の世界を描いた作品である」という都市伝説です。映画の後半、大洪水によって町全体が水没したにもかかわらず、住民たちが船に乗って楽しそうに挨拶を交わす場面や、車椅子だった老人たちが水中で元気に走り回る描写から、こうした考察が生まれました。
ネット上で挙げられる主な「死後世界説」の根拠は以下の通りです。
- 水没した町で、本来なら大災害であるはずなのに誰も悲壮感を感じていない。
- 宗介とポニョが潜り抜けるトンネルが「あの世への境界」を象徴している。
- 車椅子のトキさんたちが、水中のドーム内で立ち上がり自由に走っている。
- 物語に登場する古代魚(デボン紀の魚)は絶滅生物であり、死者たちの世界を示唆している。
これらの噂について、スタジオジブリ公式や宮崎駿監督が「死後の世界を描いた」と明言した公式発表はありません。しかし、宮崎監督自身は公式インタビューなどで「生と死、現世と異界が渾然一体となった神話的な世界を描きたかった」と述べています。
つまり、単に「登場人物が全員死亡した」という短絡的なホラー的解釈ではなく、太古の海の記憶と神話的空間が現世に溢れ出した状態を描いているのが真相です。津波や天変地異の恐怖をただの悲劇として描くのではなく、海という生命の源が持つ圧倒的な力と、そこから再生していく生命の祝祭を描いたものと解釈するのが、作品の本質に最も適しています。