インターネット上のレビューサイトやSNSで「実写版 となりの怪物くん ひどい」といったネガティブワードが検索される背景には、大きく分けて2つの要因が存在します。
第1に、原作が持つ「シリアスな毒気」の緩和です。ろびこ氏の原作は、単なる胸キュン少女漫画にとどまらず、育児放棄やエリート一族の歪んだ支配関係など、暗い人間関係の闇に踏み込んだ作風が特徴でした。映画版ではエンターテインメント性を高めるためにカラフルな学園ポップ調へとトーン&マナーが調整されており、この改変が原作原理主義の読者層から「薄味になった」と評されたのです。
第2に、怒涛のダイジェスト感です。登場人物全員が心に傷を抱え、少しずつ関係を修復していくプロセスが魅力の作品であるため、105分の映画では大島さんや夏目さんのエピソード展開が急ぎ足に感じられた点も否めません。
しかし、こうした批判を覆す魅力が本作には満ちています。現場インタビューや当時のメイキングで明かされている通り、菅田将暉は野生児のような春を演じるにあたり、身体表現や目の動きに徹底的なアドリブを盛り込みました。土屋太鳳の無機質な表情から徐々に感情がこぼれ落ちていく微細な演技と相まって、生身の人間が演じるからこそのエモーショナルな熱量が全編に宿っています。