多くのファンに衝撃を与えた2014年7月の「ライブ活動休止宣言」、そして2016年5月の『KYOSUKE HIMURO LAST GIGS』に至った決定的な理由は、長年密かに進行していた両耳の聴覚障害(難聴・トーンデフ)でした。
当時の密着ドキュメンタリー特番や本人の告白によると、異変はソロ活動の円熟期から始まっていました。当初は左耳の聴力低下から始まり、それをカバーするために酷使していた右耳にも深刻なダメージが及んだ結果、ライブの大音響下で特定の音程(ピッチ)を正確に聞き取ることが困難になる「トーンデフ」の状態に陥っていたと明かされています。
2014年7月13日の山口・周南市文化会館でのMC、および直後の横浜スタジアム公演で語られた「プロとしてファンに完璧なパフォーマンスを届けられないのなら、ステージを降りるべきだ」という言葉は、妥協を一切許さない氷室京介というアーティストの矜持を物語っています。
決して歌う気力を失ったわけでも、喉に致命的な問題を抱えたわけでもなく、「完璧な氷室京介を表現できない悔しさ」と真摯に向き合った末の、苦渋にして誇り高き選択でした。