それまでのテレビ界における女性キャスターは、いわば「作られたマスコット」としての側面が強かった。若さや愛嬌、そして乱れのない容姿が最優先される中、有働由美子は全く異なるアプローチで視聴者との信頼関係を築いていった。脇汗の一件は、その象徴的な出来事に過ぎない。
彼女が見せたのは、プロフェッショナルとしての高いアナウンス技術と、同時に存在する「一人の生身の人間」としての弱さや泥臭さの両立だった。メイクが崩れようが、本音で涙を流そうが、彼女はカメラの前で自分を飾り立てることをしなかった。この泥臭さこそが、視聴者との距離を一気に縮め、彼女を「国民的アナウンサー」へと押し上げる原動力となったのだ。