古代生物やその図鑑を選ぶ際、一般に広く信じられているものの、学術的には誤りであるポイントがいくつか存在します。
第一の誤解は、「古生物=恐竜である」という認識です。恐竜は中生代(三畳紀〜白亜紀)に陸上で繁栄した特定の爬虫類グループを指します。しかし、古生物学の対象は40億年にわたる全生物史です。カンブリア紀のバージェス頁岩動物群、デボン紀の甲冑魚類、石炭紀の巨大昆虫メガネウラ、新生代の巨大サメ・メガロドンやマンモスなど、恐竜以外の魅力的な古代生物は無数に存在します。恐竜以外の生物にスポットを当てた図鑑を選ぶことで、生命史の全体像がより鮮明に理解できます。
第二の盲点は、「古い図鑑の復元図はそのまま通用する」という思い込みです。古生物学は日進月歩の分野であり、化石の微小構造解析や軟組織の生化学的分析により、復元図は頻繁にアップデートされます。例えば、アノマロカリスの捕食能力(硬い三葉虫を噛み砕けたのか否か)やオパビニアの眼の構造など、10年前の学説が現在では否定されているケースも珍しくありません。図鑑を選ぶ際は、監修者の専門分野と発行年を確認することが重要です。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
読者の目的や前提知識によって、最適な図鑑の選び方は異なります。
【選んで間違いのない人】
- 知的好奇心を刺激するビジュアルブックを求める大人:『リアルサイズ古生物図鑑』シリーズのような、実寸対比や美麗CGを用いた新感覚図鑑が最適です。
- 子供に読書習慣や科学への興味を持たせたい親世代:ストーリー仕立てで絶滅の理由を学べるエンタメ系図鑑や、DVD映像が付属した大手学習図鑑がおすすめです。
- 系統樹や地質時代ごとの進化プロセスを体系的に学びたい層:カンブリア紀、古生代、中生代、新生代と時代別に網羅された専門的な進化図鑑を選ぶべきです。
【慎重に選ぶべき人】
- 最新の学術論文レベルの厳密なデータを求める研究志向の読者:児童向けやエンタメ重視の図鑑では簡略化された表現が多いため、古生物学会関係者が執筆・監修した専門書やモノグラフを選択する必要があります。