ポップミュージックが地方都市の観光資源として定着した事例は、全国を見渡しても決して多くない。その中で足利市が見せた歩みは、音楽産業と観光業の理想的な共存モデルといえる。足利市観光協会は過度な商業主義に走ることなく、楽曲が持つ清楚で詩的なイメージを大切に守りながら、巡礼者を迎える環境を整えてきた。
駅前の観光案内所で配布される散策マップや、レンタサイクルの整備、地域住民による美化活動。これらは行政主導の押し付けではなく、街の風景を愛してくれたアーティストへの純粋な感謝から始まっている。結果として、一時的なブームで終わることなく、年間を通じて途切れることのない息の長い誘客効果を生み出すことに成功した。