家族をさらに疲弊させるのが、エンドレスに発生する後見人報酬の負担です。親族以外が選任された場合、成年後見人の報酬トラブルの真相は「家庭裁判所が決定する報酬を、遺族が拒絶できない」という点に集約されます。
最高裁判所の報酬基準の目安によると、司法書士や弁護士の費用相場は、管理する財産額に応じて月額で機械的に決定されます。
- 通常の後見業務(財産額1,000万円以下):月額2万円程度
- 財産額1,000万〜5,000万円以下:月額3万〜4万円程度
- 財産額5,000万円超:月額5万〜6万円程度
- 特別困難な事情(訴訟や不動産売却):別途数十万円の一時報酬が付加
仮に月額4万円の報酬が決定し、本人がその後8年間にわたり介護施設で療養を続けた場合、支払う総額は約384万円に達します。日常的に親の身の回りの世話や介護施設との調整、病院の付き添いを行っているのは同居する家族であるにもかかわらず、年に数回家計簿をチェックし書類を裁判所に提出するだけの第三者専門職に対し、多額の報酬が親の口座から天引きされ続けるのです。
さらに家族の不満を増幅させているのが「後見監督人」の存在です。親族が後見人に選ばれた場合であっても、家庭裁判所は「財産が多額である」「親族間で意見対立がある」などの理由から、弁護士などを後見監督人として指定することがあります。監督人が就任すると、親族後見人には報酬が出ないにもかかわらず、監督人に対して月額1万〜3万円程度の報酬を別途支払い続けなければなりません。家庭裁判所と後見監督人の実態を知らないまま手続きを進めた家族からは、「親の財産を守るためではなく、司法関係者の安定した小遣い稼ぎのために制度が運用されているのではないか」といった怨嗟の声が漏れるのも無理からぬ状況です。