この時代の現実を容赦ないリアリズムでスクリーンに焼き付けたのが、日本映画界の名匠・溝口健二監督による1956年の映画『赤線地帯』だ。大映が制作したこの作品は、東京・吉原のカフェー「夢の里」で働く5人の女性たちの過酷な日常と葛藤を描き出し、当時の社会に大きな衝撃を与えた。
京マチ子や若尾文子ら豪華女優陣が演じる女性たちは、単なる被害者として描かれるのではない。借金返済、家族の病気、子どもの養育費など、それぞれが抱える生活の重圧に抗いながら、力強く生き抜こうとする生身の人間として表現されている。この作品は卓越した社会派ドラマであり、当時の邦画を代表する金字塔として、今なお国内外の映画産業において高く評価されている。