開高健(かいこう たけし)は1930年12月30日、大阪市天王寺区に生まれました。戦中・戦後の混乱期に青春を過ごし、大阪市立大学法文学部(現・大阪公立大学)を卒業後、1954年に壽屋(現・サントリー)へ入社します。宣伝部に配属された開高は、同僚の山口瞳や画家の柳原良平らとともに、日本の広告史に輝く数々の傑作を世に放ちました。
トリスウイスキーのPR誌『洋酒天国』の編集を手がけ、「人間らしくやりたいナ」に代表される、人々の心に寄り添うヒューマニズムあふれるキャッチコピーを次々と考案。高度経済成長期の息苦しさを生きる庶民の共感を呼び、サントリーのブランド価値を決定づける立役者となりました。
コピーライターとして活躍する傍らで小説の執筆に励み、1957年に発表した『パニック』で文壇の注目を浴びると、翌1958年には絵画教室を舞台に大人のエゴを描いた『裸の王様』で第38回芥川賞を受賞します。私生活では、年上の詩人である牧羊子と結婚。妻の牧羊子もまた独自の美意識を持つ表現者であり、二人は互いの才能を刺激し合いながら、波乱に富んだ家庭生活を築いていきました。