無菌室での厳しい抗がん剤治療に耐え抜いた渡辺謙は、約1年の療養を経て1990年に見事な仕事復帰を果たします。順調に回復しているかに見えましたが、病魔は再び彼を襲いました。
復帰から約4年が経過した1994年、34歳の時に急性骨髄性白血病が再発します。白血病の再発は、初発時よりも治療の難易度が跳ね上がり、生存率が大きく低下することが医学的にも知られています。本人にとっても、一度乗り越えた地獄のような闘病生活を再び繰り返す精神的ダメージは計り知れないものでした。
再発時の治療は、初発時以上に過酷を極めました。抗がん剤の副作用による激しい吐き気、高熱、脱毛、免疫力低下による感染症の恐怖と戦いながら、無菌室の中で孤独な日々を過ごしました。生きる気力さえ失いかけた彼を支えたのは、家族の存在と「もう一度芝居がしたい」という役者としての強烈な執念でした。