「買って数ヶ月しか経っていないのに、食材がくっつくようになった」というトラブルの多くは、コーティングの摩耗ではなく急冷による剥離が原因だ。
急激な温度差によってフッ素樹脂層と金属本体の密着面が破壊されると、目に見えない微細なクラック(亀裂)が生じる。その隙間に水分や調理油、調味料の塩分が入り込み、加熱と冷却を繰り返すうちにコーティングが内側から浮き上がってしまう。結果としてフッ素樹脂コーティングの著しい劣化を招き、ペリペリと剥がれ落ちる原因になる。
耐摩耗性を高めた高級モデルであっても、ヒートショックに対する物理法則は変わらない。どんなに耐久性を謳う製品であっても、急冷を一度行うだけでコーティングの寿命は何ヶ月分も縮まる。