では、インターネット上に溢れる無数のグラフィックの中から、真に優れた図解を見極めるにはどこに注目すべきなのだろうか。メディカルイラストレーションの第一線で活躍する専門家は、次の3つの観察ポイントを挙げる。
第一に、「心筋の壁の厚さ」が正確に描き分けられているか。全身へ強力に血液を送り出す左心室の筋肉壁は、肺への短いルートを担う右心室よりも圧倒的に厚い。この解剖学的なリアリティが反映されている図は信頼性が高い。
第二に、「毛細血管網でのガス交換」の描写だ。体組織と肺胞という二大拠点での物質交換が、単なる線の結合ではなく、ネットワークとして丁寧に可視化されているかが重要になる。
第三に、「情報の引き算」ができているか。目的が全体の循環ルートの把握である場合、細かな枝分かれ血管の名称などはあえて省き、流動のメインストリームを強調している図解こそが、学習者にとって最も親切な設計と言える。