鶴太郎さんのものまねが人々の心をつかんで離さなかった理由は、単なる形態模写ではなく「対象への徹底的なリスペクトと狂気的なまでの観察眼」にありました。
当時の片岡鶴太郎さんのものまねレパートリーを振り返ると、その幅広さと完成度には目を見張るものがあります。
映画評論家の小森和子さんを模した「小森のおばちゃま」、元世界王者の具志堅用高さん、大女優の浦辺粂子さん、さらには村田英雄さんや千代の富士関に至るまで、対象の内面や口癖を極限まで誇張して笑いに昇華させました。そのラインナップの筆頭に位置していたのが近藤真彦さんでした。この時期に培われた憑依的な表現力が、後の本格派俳優への転身や、日本アカデミー賞最優秀助演男優賞の受賞へと繋がる強固な土台となったことは間違いありません。