高木ブーがまだ本名の高木友之助として音楽の道を歩み始めた昭和30年代、彼は売れないジャズミュージシャンとして厳しい下積み生活を送っていた。明日を生きる食費にも頭を悩ませるほどの苦境の中で出会い、結ばれたのが高木喜代子さんである。
当時、大手事務所の渡辺プロダクション(現在のワタナベエンターテインメント)に所属し、愚直に音楽と向き合っていた彼を喜代子さんは一途に信じ続けた。収入が不安定な時期には質屋に足を運びながら必死にやりくりをし、夫が演奏に専念できる環境を守り抜いたという。貧しさに挫けそうになる若き日の高木ブーを支えたのは、妻の深い愛情と揺るぎない信頼にほかならなかった。