「恫喝されたが、これは犯罪として警察に訴えられるのか?」という疑問を持つ方は少なくありません。前述の通り刑法に「恫喝罪」という独立した罪名はありませんが、恫喝の具体的な内容や態様によって、複数の刑事罰や民事上の責任が問われます。
最も成立しやすいのが「脅迫罪(刑法222条)」です。脅迫罪の構成要件は、本人または親族の生命・身体・自由・名誉・財産に害を加えると告知することです。「言うことを聞かないと家族がどうなるか分からないぞ」「業界にいられないようにしてやる」といった恫喝まがいの発言は、害悪の告知として脅迫罪(2年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金)に問われる可能性が極めて高いといえます。
さらに、恫喝によって相手に義務のないことを無理やり行わせたり、正当な権利行使を邪魔したりした場合は「強要罪(刑法223条・3年以下の拘禁刑)」が成立します。土下座の強要や退職届の無理な書かせなどがこれにあたります。
また、刑事罰に至らないレベルであっても、民法709条に基づく不法行為責任は免れません。理不尽な恫喝によって精神的苦痛を受け、通院や休職に追い込まれた場合、被害者は加害者に対して慰謝料や治療費などの損害賠償を請求することが法的に認められています。