現代において世界で最も有名かつ商業的成功を収めているサーカス集団といえば、カナダ発祥の「シルク・ドゥ・ソレイユ」を思い浮かべる方が大半でしょう。それにもかかわらず、なぜ世界三大サーカスにその名が含まれていないのでしょうか。
理由は極めてシンプルで、「成立した時代背景」と「芸術ジャンルの定義」が異なるためです。
木下、ボリショイ、リングリングの3団体は、猛獣使い、クラウン(道化師)、空中ブランコ、曲芸を円形舞台で見せる19世紀〜20世紀初頭に確立された「クラシック・サーカス(伝統的サーカス)」の系譜に属します。
対してシルク・ドゥ・ソレイユは、1984年に旗揚げされた比較的新しい団体であり、「ヌーヴォー・シルク(新サーカス)」と呼ばれる全く新しい舞台芸術ジャンルを切り拓きました。動物を一切登場させず、演劇的なストーリーライン、生演奏の音楽、幻想的な照明や衣装デザインを融合させた総合芸術として作られています。確立された文脈が異なるため、伝統的な「世界三大サーカス」の枠組みとは別格の存在として位置づけられています。