当時の刑事ドラマといえば『太陽にほえろ!』に代表されるような「主要キャラクターの劇的な殉職劇」が恒例のイベントでした。しかし『特捜最前線』は安易な殉職劇に頼らず、リアルな警察組織の日常と刑事個人の生き様を重厚に描く方針を貫いていました。だからこそ、稀に訪れる別れの場面は視聴者の胸を激しく締め付けたのです。
ファンの間で今も語り継がれる特捜最前線の殉職一覧における代表的なエピソードを振り返ります。
最も強烈なインパクトを残したのが、津上刑事(荒木しげる)の殉職です。第147話「殉職I・津上刑事よ永遠に!」および第148話「殉職II・最後のblot」の前後編で描かれたこのエピソードでは、津上刑事が巨大な犯罪組織の罠に落ち、自らの命を削りながらも警察官としての誇りを守り抜く壮絶な最期が描かれました。息を引き取る瞬間の切ない心理描写と、残された特命課メンバーのやり場のない憤りは、テレビ史に残る名シーンです。
また、第436話「墓場ぐらしの男!」から第437話「射殺・その後の静けさ!」にかけて描かれた叶刑事(夏夕介)の悲劇も、多くの視聴者にトラウマ級の衝撃を与えました。単なるヒロイズムではなく、暴力の無情さと警察官が背負う十字架の重さを容赦なく突きつける演出は、まさに本作ならではの真骨頂でした。
さらに番組終盤の第505話「愛と復讐の生体実験!」・第506話「退職・その日の告白!」では、長年特命課を支え続けた吉野刑事(誠直也)の壮烈な死が描かれ、特命課の解体へと向かう物語のクライマックスを決定づけました。