当初は「文化財に対する取り返しのつかない破壊行為」としてセシリア氏への法的措置も検討されました。ところが、インターネットで社会現象化した結果、スペイン国外から「実物を見たい」という観光客がボルハへ大挙して押し寄せる事態が発生します。
町はこの思わぬ狂騒を柔軟に受け止め、教会への入場料を設定。世界中から巡礼者が集まり、過疎化が進んでいた小さな町は未曾有の観光バブルに沸くことになりました。
観光客の急増に伴い浮上したのが、キリスト修復失敗グッズ著作権の取り扱いです。土産物屋でTシャツやマグカップ、地元産ワインのラベルにあの絵が無断使用されたため、セシリア氏側とボルハ市財団の間で知的所有権に関する協議が行われました。
最終的に双方は和解し、グッズ販売によるロイヤリティ収入の49%をセシリア氏が受け取り、残る51%を町が設立した慈善財団が受け取る契約を締結。セシリア氏は自身の取り分のほぼ全額を、障がいを持つ自身の息子の介護費と地元の老人ホーム運営基金へ寄付しました。激しい批判を浴びた女性が、最終的には地域福祉を支える大功労者となったのです。