主演を務めたベネディクト・カンバーバッチの演技は息をのむほど壮絶だ。人気子供番組のパペティアーでありながら、アルコールと毒舌で自暴自棄に陥る父親ヴィンセント。彼が息子の遺した絵本スケッチの怪物を巨大パペットとしてTV画面に登場させようと執着する姿は、哀愁と狂気に満ちている。
単なる事件解決のドラマにとどまらず、精神的に追い詰められた人間の内面を深く掘り下げる重厚なヒューマンドラマとして昇華された背景には、カンバーバッチの卓越した表現力がある。実体化したモンスターと向き合う彼の瞳には、痛烈なリアリティが宿っていた。