では、家庭でレストラン級の深みを生み出すにはどうすればよいのか。多くの料理好きから絶大な信頼を集める料理研究家の栗原はるみ氏をはじめとする食のプロたちが実践する、隠されたテクニックに迫った。その最大の鍵は「食材を入れる順番」と「下処理のひと手間」にある。
まず、ズッキーニはあらかじめ強火で表面に香ばしい焼き目をつけて一旦取り出しておくこと。最初から煮込むと水っぽくなり、独特の食感が失われてしまうからだ。そして、鶏肉は皮目からパリッと焼き上げ、出てきた脂でニンニクとトマトペーストをじっくり炒める。ここで味の素株式会社が提唱するような旨味の掛け合わせ構造を利用するのがプロの極意だ。トマトに含まれるグルタミン酸と、鶏肉のイノシン酸が合体することで、旨味は単体時の数倍へと跳ね上がる。さらに隠し味として、ほんの少しの醤油と味噌、あるいは粉チーズを少量加えることで、酸味がまろやかになり、深みのあるコクが驚くほど簡単に生まれる。