NERV(ネルフ)の背後に君臨する秘密結社「ゼーレ(SEELE)」と、司令官である碇ゲンドウ。両者は表向き協力関係にありながら、水面下では激しく対立していました。その理由は、計画の「着地点」に対する決定的な思想の食い違いにあります。
ゼーレの描くシナリオは、古代遺産「裏死海文書」の予言に忠実な「人類の原罪の贖罪」でした。知恵の実を不正に得た人類が神に許される唯一の道は、リリスの器へ還り、自我の境界をなくして永遠の平穏を得ることであると考えたのです。そこには個人のエゴや感情の入る余地は一切存在しません。
対するゲンドウの動機は、極めて個人的で純粋な欲望でした。彼の目的は人類の救済ではなく、かつてエヴァンゲリオン初号機の接触実験で魂を機体内にダイブさせたまま消えた最愛の妻、碇ユイとの再会そのものだったのです。ゲンドウはゼーレの計画を利用しながら、自らが補完の中心となり、神の力を手に入れてユイと再びひとつになる機会を冷酷に狙い続けていました。