明治時代、除虫菊の成分に着目して渦巻き型の蚊取り線香を生み出した創業者・上山英一郎。その志を継ぐ大日本除虫菊株式会社をはじめとするメーカー陣は、時代とともに姿を変える生活様式に即した防虫手段を模索し続けてきた。煙で蚊を燻し落とす古典的な手法は、住環境の変化とともに曲がり角を迎えている。
特にタワーマンションや高密閉住宅の増加に伴い、室内での煙や着衣へのにおい移りを忌避する声は年々強まっていた。これに応える形で、日用品・防虫産業全体が「非加熱」「無香」「高効率」へと舵を切った。単に不快害虫を遠ざけるだけでなく、住居空間の質を落とさない防虫手段へのシフトが業界全体の大きな構造転換を加速させている。