昭和後期から平成初期にかけて、大相撲界を大いに沸かせた大関・北天佑勝彦。北海道室蘭市出身の彫りの深い端正な顔立ちと、怪力を生かした豪快な相撲で女性ファンを虜にした名力士でした。現役引退後は年寄・二十三代二十山親方を襲名し、1995年には二十山部屋を興して師匠として後進の育成に力を注ぎました。
その北天佑が生涯の伴侶として選んだのが、旧姓・井上栄美(いのうえ えみ)さんです。栄美さんは1987年準ミス日本に輝いた経歴を持つ卓越した美貌の持ち主で、1988年の婚約発表時には「角界屈指の美男美女カップル」としてメディアで大々的に報じられました。
結婚後は部屋のおかみさんとして、厳しい稽古に励む若い弟子たちの食事や生活面の世話に奔走。親方の実直な相撲道と栄美夫人の細やかな気配りによって二十山部屋は活気に満ちていましたが、突如として過酷な運命が一家を襲います。
2006年3月、北天佑親方は体調不良を訴えて緊急入院。病名は悪性脳腫瘍および腎臓がんでした。必死の闘病生活もむなしく、発覚からわずか3カ月後の2006年6月23日に45歳の若さで急逝。あまりにも早すぎる別れに相撲界全体が深い悲しみに包まれ、二十山部屋は所属力士が出羽海部屋などへ転籍する形で閉鎖を余儀なくされました。