バッテラの表面を覆う透き通った薄い膜のようなものを見て、「これはビニール?剥がして食べるべき?」と迷った経験を持つ方もいるはずです。あの正体は「白板昆布(しらいたこんぶ)」と呼ばれる高級昆布加工品であり、剥がさずそのまま食べるのが正しいマナーです。
白板昆布は、酢漬けにした厚手の真昆布の表面をおぼろ昆布として削り落とした後、芯として残る繊維部分を薄くスライスし、甘酢で柔らかく煮含めたものです。職人の手仕事が生み出す副産物でありながら、バッテラにおいて極めて重要な3つの役割を果たしています。
- 乾燥防止:薄い鯖の身や酢飯の水分蒸発を防ぎ、しっとりした食感を長時間キープする。
- 旨味の浸透:グルタミン酸を豊富に含む昆布の旨味が鯖の脂と溶け合い、酸味をまろやかに整える。
- 美しい光沢:透明なベールのように鯖の青い皮目を際立たせ、宝石のような光沢を与える。
白板昆布の甘酸っぱさと鯖の塩気が合わさることで、醤油をつけずともそのまま完成された味わいを楽しめるのが押し寿司の真髄です。