『もののけ姫』にまつわる噂も絶えない。特に主人公アシタカが受けた「呪い」の真の意味についてだ。タタリ神から受けた痣は、彼の身体を蝕み、最終的には死に至らしめるはずだった。映画のラストでは痣が薄くなり、一見ハッピーエンドのように描かれるが、ファンの間では「アシタカは村を追われた時点で、すでに社会的には『死者』であり、森の神々に生かされているだけの人形になった」という説が根強く囁かれている。
宮崎駿が描く「生と死」は常に表裏一体だ。アシタカが放つ矢が敵の首を撥ね飛ばす暴力描写の生々しさは、他のジブリ作品とは一線を画す。美化された自然賛歌ではなく、自然と人間の殺し合いという冷酷な現実を描く中で、アシタカという存在自体が「生贄」だったのではないかという解釈は、作品の持つ重厚なテーマをより深めている。