トルコ料理と並び、誰しもが納得する二強として君臨するのがフランス料理と中華料理です。この2つもまた、先述の基準を極めて高い次元で満たしています。
中華料理の歴史は数千年に及びます。歴代王朝の宮廷で発展した「満漢全席」に象徴されるように、広大な中国大陸のあらゆる珍味と火候(火加減)、乾物の戻し技術、医食同源思想が高度に融合しました。北京、四川、広東、山東など地域ごとに明確な体系を持ち、アジア全域の食文化の礎を築いたスケール感は群を抜いています。
一方、フランス料理は、ルネサンス期にイタリア・メディチ家から伝わった宮廷作法をベースに、ルイ14世のヴェルサイユ宮殿で劇的な洗練を遂げました。19世紀のシェフ、アントナン・カレームやオーギュスト・エスコフィエによって調理理論やソースの分類、コース料理の進行(ロシア式給仕法)が厳密にマニュアル化され、「世界の外交プロトコル(公式晩餐会の標準言語)」としての地位を不動のものにしました。