『UNDERTALE』という作品の凄みは、プレイヤーの選択によってキャラクターたちの運命と精神性が極限まで試されるルート分岐の設計にあります。
誰も殺さずに友情を育むアンダーテールのPルート(トゥルーパシフィスト)における救済キャラたちのドラマは、本作屈指のエモーショナルな到達点です。このルートにおいて主人公は、過去の因縁に縛られていたモンスターたちの心を解き放ち、最終的には「魂の牢獄」に囚われていたすべてのモンスターの想いを束ねて、神の如き力を得たアズリエルと対峙します。絶望的な攻撃の中で「まもる」や「ふっかつ」を繰り返し、失われた魂(Lost Souls)を救い出していくプロセスは、ゲームという媒体でしか成し得ない圧倒的なカタルシスをもたらします。
一方で、すべてのモンスターを意図的に殲滅し尽くすアンダーテールのGルート(ジェノサイド)におけるボスキャラたちの変貌は、プレイヤーに戦慄と罪悪感を突きつけます。
スノーフルの虐殺を経て、ウォーターフェルで主人公の刃からモンスターの子をかばって討ち死にしたかに見えたアンダインは、モンスター本来の肉体の限界を精神力で凌駕し、「ふじみのアンダイン(Undine the Undying)」として覚醒します。「世界の命運を背負った真の英雄」として立ちふさがる彼女の戦闘BGM『本物のヒーローとの戦い(Battle Against a True Hero)』は、本来の主人公側こそが悪魔(ヴィラン)であることを強烈に印象づけます。
そしてGルートの終着点である「さいごのろうか」で待ち受けるのが、最強の門番へと変貌したサンズです。「美しい日だ。小鳥が歌い、花が咲き乱れている…こんな日には、お前のような子供は…地獄で燃えてしまえばいい」という静かな宣告から幕を開ける死闘は、回避不可能な初手全滅攻撃、攻撃メニュー画面への直接干渉、プラットフォームアクションのような重力操作など、従来のRPGのルールを完全に破壊した猛攻となってプレイヤーの心をへし折ります。
また、この悲劇の連鎖を語る上で欠かせないのがアンダーテールのフラウィの正体と理由です。フラウィの正体は、かつて死亡した王子アズリエルの遺灰が付着した金色の花に、アルフィスの実験によって「ケツイ(Determination)」を注入された魂なき器です。心(ソウル)を持たない彼は、どれほど他者を愛そうとしても愛情や哀れみを感じることができず、自死を試みた瞬間に「セーブとロードの力」に目覚めました。最初は善行を重ねたものの、すべての結末を見届けた果てに実存的な退屈に苛まれ、「すべての可能性を試す」という動機から冷酷無比なサディストへと堕ちていったのです。