あら汁作りで「生臭くて失敗した」と感じる原因の9割以上は、魚の血液(血合い)と体表の酸化したヌメリが汁に溶け出してしまうことにあります。魚の生臭さの主成分である「トリメチルアミン」は、加熱するだけでは消滅しません。物理的に洗い流すプロの工程を忠実に守ることが不可欠です。
家庭で失敗しないための「完全下処理プロセス」は以下の3ステップで完了します。
ステップ1:徹底的な「振り塩」(15〜20分静置)
アラ全体にしっかり強めの塩を振り、バットに斜めに立てかけて常温で15分から20分置きます。浸透圧の働きにより、魚の生臭さを含んだ水分(ドリップ)が表面に浮き出してきます。この水分をキッチンペーパーで拭き取ることが、第一防衛ラインとなります。
ステップ2:80〜90℃の熱湯による「霜降り」
グラグラと煮え立つ沸騰湯ではなく、一呼吸置いた80℃から90℃前後の熱湯をアラ全体に回しかけます。表面のタンパク質が一瞬で白く凝固し、生臭さの元凶であるヌメリとウロコが浮き上がります。沸騰したままの湯に長く浸けると、アラの旨味成分まで流出してしまうため、湯をかけたら即座に冷水へ移すのが鉄則です。
ステップ3:冷水の中での「指先掃除」
冷水(氷水)の中で、白く固まった表面のヌメリ、残ったウロコ、中骨の隙間にこびりついた暗赤色の血合い(腎臓組織)を、指先や使い古した清潔な歯ブラシを使って徹底的にこそげ落とします。水が澄んでくるまで綺麗に洗い流したら、水気を完全に拭き取ります。この段階でアラ自体からは一切の生臭さが消え、心地よい磯の香りだけが残ります。