一目見たら忘れないあの表情。ネット上で「悟りを開いている」「世界に失望した顔」と面白おかしく形容される見た目は、実は極限状態を生き抜くための徹底した機能美だ。チベット高原の強烈な紫外線を遮り、秒速数十メートルの冷風を払いのけるために、顔の周囲には緻密でぶ厚い被毛が発達している。
さらに頭骨そのものが幅広く頑丈に作られており、獲物を噛み砕く強力な顎の筋肉を支えている。研究者が「完璧に計算された高地適応モデル」と評するその身体構造は、過酷な環境でエネルギー消費を最小限に抑えつつ効率的に狩りを行うための生存装置そのものなのだ。