ネット空間で「年金崩壊論」がこれほど強固に信じ込まれている背景には、メディアのセンセーショナルな報道姿勢と、受給額の「目減り」と「受給ゼロ」の混同があります。テレビやネットニュースでは、キャッチーな「年金破綻」「現役世代は大赤字」といったフレーズが好まれ、若年層の年金納付率に対するネットの反応もネガティブな意見ばかりが拡散されがちです。
かつて高度経済成長期やバブル期を生きたシニア層は、支払った保険料に対して数倍の年金を受け取ることができました。これに対し、少子高齢化が進む現代の若者が当時の高齢者と同じ利回りを得られないのは事実です。この受給水準の格差が「損得勘定」として切り取られ、いつの間にか「将来は1円ももらえなくなる」という極端な言説へとすり替わって定着してしまいました。
しかし、年金制度の崩壊は明確な嘘であり、現実には給付と負担のバランスを取りながら持続可能な形へと再編が続けられています。「ゼロか100か」の極論に惑わされず、数字に基づいた現実を把握することが不可欠です。