この家系図が他を圧倒するのは、近代日本の政治史に名を刻む名門と、現代演劇界の礎を築いた職人肌の一族が、婚姻によって見事に結びついている点にあります。
安藤和津の母方・父方を遡ると、祖父である犬養毅だけでなく、元国連難民高等弁務官を務めた緒方貞子も親戚関係にあります(犬養毅の曾孫)。また、評論家の犬養道子や元共同通信社社長の犬養康彦は和津の異母姉・兄にあたり、言論界・国際社会に多大な影響を与えた血筋であることが分かります。
一方、2012年に安藤サクラと柄本佑が結婚したことで、この歴史的家系は演劇界の最高峰である「柄本家」と合流しました。父・柄本明と母・角替和枝は劇団東京乾電池を旗揚げし、商業主義に媚びない徹底的なリアリズムと身体表現を追求してきた名優夫妻です。弟の柄本時生も含め、家族全員が第一線の表現者として活動しています。
つまり、「近代史を動かした政治的知性(犬養家)」×「情熱と美学を貫く映画監督・俳優(奥田家)」×「徹底したリアリズムを追求する演劇の求道者(柄本家)」という3つの潮流が、安藤サクラと柄本佑の世代で一つに溶け合っているのです。