サンタクロースといえば「白い毛皮の縁取りがついた赤いコートに太いベルト」という姿が共通認識となっています。この鮮烈な赤には、二重の歴史的背景が存在します。
第1の理由は、モデルである聖ニコラウスが身にまとっていたカトリック・東方正教会の「司教服(祭服)」の色が赤(緋色)であったことです。キリスト教において赤は、神の至高の愛や殉教の覚悟を象徴する神聖な色とされています。
第2の理由は、近代アメリカにおけるビジュアルの統一です。19世紀初頭までは、緑や茶色、青など地域によって様々な衣装で描かれていました。しかし、19世紀後半に風刺画家トーマス・ナストが米週刊誌『ハーパーズ・ウィークリー』で赤い服を着た恰幅の良いサンタを描き、人気を博します。さらに1931年にコカ・コーラ社が冬の広告キャンペーンに画家ハッドン・サンドブロムを起用し、陽気な笑顔と温かみのある赤い衣装のサンタを大々的に展開したことで、現在の世界標準イメージが決定づけられました。