福岡青洲会病院の救急外来における待ち時間は、受診者が最もストレスを感じるポイントの一つです。しかし、この現象を単なる「現場の怠慢」と結論づけるのは早計と言わざるを得ません。背景には、糟屋医療圏における救急医療の中核として年間4,000件以上の救急搬送を一手に引き受けているという圧倒的な負荷が存在します。
救急外来では、到着順ではなく患者の生命危機レベルを判定する「院内トリアージ(JTAS基準準拠)」が厳格に導入されています。診察室の前で待機している最中にも、裏手の救急搬送口からは心肺停止、急性脳血管障害、多発外傷などの超重症患者が次々と運び込まれます。バイタルサインが安定している軽症患者の順番が後回しになるのは、人命救助を最優先とする医療機関として不可避の判断です。
さらに、近隣の夜間診療所や一次医療機関の閉塞に伴い、「昼間は仕事があるから夜間に診てもらおう」という軽度の受診希望者が集中する現象も待機列を長期化させる要因です。医療従事者への聞き取り取材では、「重症者の蘇生処置に医師・看護師が総出で対応している時間帯は、軽症外来の進行が物理的に止まってしまう」という苦渋の現場実態が語られています。