外見は立派でも、口に含んだ瞬間に耐えがたい刺激を感じたり、表面が黒く変色していたりするケースも後を絶ちません。
消費者を悩ませる大根が辛い・苦い原因は、植物が外敵から身を守るために生成する辛味成分「イソチオシアネート」の濃度上昇です。栽培期間中に激しい乾燥ストレスや極端な高温に晒されると、根の肥大が抑えられる一方で辛味成分が異常濃縮されます。適度な土壌水分の保持と、辛味の少ない品種選定が予防策となります。
病害虫の分野では、発芽直後から襲来するキスジノミハムシ等の害虫対策が最重要課題です。成虫は葉を網の目状に食害し、地中に産み付けられた幼虫は大根の表皮を食い荒らして無数の黒い食害痕(肌荒れ)を残します。播種直後から目合い0.6〜0.8mmの防虫ネットをトンネル掛けし、成虫の飛来を物理的に完全遮断することが最もクリーンで確実な防除法です。
また、高温多湿時に多発する大根の軟腐病・黒斑細菌病は、土壌中の細菌が害虫の食害傷や強風による葉の傷口から侵入して発病します。軟腐病に侵されると組織がドロドロに溶けて激しい悪臭を放ちます。水はけの良い高畝栽培(畝高15〜20cm)を徹底し、密植を避けて通気性を確保することが予防の基本です。
最後に、春まき栽培で特に問題となる大根のとう立ちの防ぎ方を押さえておきましょう。大根は低温に一定期間遭遇した後に長日(日が長くなる)条件になると花芽を形成し、花茎を伸ばす「とう立ち(抽苔)」を起こします。一度とう立ちすると根の養分がすべて花へ吸い上げられ、芯が木質化して食用に適さなくなります。春まきでは必ず「耐抽苔性(晩抽性)」と表記された品種を選び、初期はビニールトンネル等で保温して低温感応を防ぐ必要があります。