現在、ライブエンターテインメントのチケット価格は高騰を続けている。ダイナミックプライシングの導入により、ドームクラスの公演では1ステージ数万円を超えることも珍しくない。こうした高額な席で提供されるのは、完璧にコントロールされた演出と演出機材による「極上の鑑賞体験」、つまりコンサートとしての価値だ。
一方で、数千円で入場できる地方のライブハウスや小規模なクラブでは、演者の息遣いや飛び散る汗を文字通り肌で感じる「肉体的な体験」が提供される。消費者が支払う対価の対象が、演出の完成度なのか、それとも物理的な距離の近さなのかによって、両者の境界線はより明確に引かれるようになっている。