「毒親」という言葉の原点は、米国のセラピストであるスーザン・フォワードが1980年代末に発表した著作に遡る。子供の自立を阻み、精神的に毒を盛るように支配する親の存在を指摘した彼女の主張は、世界中に衝撃を与えた。
日本では、精神科医の斎藤学がアダルトチルドレンや家族病理の概念を積極的に紹介し、親密な関係性における依存と支配の構造を白日のもとに晒した。こうした先達の知見を土台として、日本心理臨床学会をはじめとする学術団体でも、家庭内トラウマが及ぼす長期的影響に関する研究が蓄積されてきた。従来の「親孝行」という文化的道徳観によって隠蔽されてきた被害の実態が、臨床心理学の進歩によって正当に認識されるに至ったのだ。