山田和利と息子・裕貴の関係性は、単なる「有名人親子」という言葉では括れないドラマを持っています。幼少期の裕貴にとって、父はまさに絶対的なヒーローでした。父の背中を追って小・中学校で野球に打ち込んだものの、「プロ野球選手の息子」という重圧や周囲の過剰な期待、そして何より父の偉大すぎる壁に直面し、高校進学を機に自ら野球を断念することになります。
当時のインタビューや特番で山田裕貴自身が語ったところによると、野球を辞めると父に告げた際、和利は怒ることもなく「自分で決めたことなら最後まで責任を持て」と静かに受け入れたといいます。その後、俳優という全く別の厳しい世界へ飛び込んだ息子に対し、父は遠くから見守り続けました。
二人の関係が象徴的に結実したのが、2018年8月10日のナゴヤドームでの始球式でした。山田裕貴は父が現役時代(中日復帰時)に背負っていた背番号「31」のユニフォームを身に纏い登板。見事なストライク投球の後、マウンド上で涙を流した姿は、多くのファンの心を揺さぶりました。偉大な父への劣等感を乗り越え、一人の表現者として父と同じフィールドに立った瞬間であり、親子の真の和解と絆を証明する名場面となりました。