中島みゆきの恋愛遍歴や精神的な結びつきを語る上で、フォーク界の巨匠・吉田拓郎の名を外すことはできない。ふたりの関係は、単なる同業者や友人という枠組みを遥かに超えた、特別な敬意と愛憎にも似た共鳴で結ばれていた。
1995年、吉田拓郎が自身の音楽的スランプに苦しんでいた際、中島みゆきへ楽曲提供を依頼したエピソードは伝説として語り継がれている。それに応えて彼女が書き下ろしたのが、あの名曲『永遠の嘘をついてくれ』だった。「私に嘘をついてほしい」と歌う切迫した詞世界は、ふたりの間にしか通じ合えない深い情動のやり取りそのものであった。2006年の「つま恋」での奇跡的な共演ステージにおいて、ふたりが視線を交わしながら歌い上げた瞬間の緊張感は、かつて恋人関係にあったのではないかという憶測をファンに抱かせるのに十分な熱量を放っていた。