人体発火現象という不条理な恐怖。灰色の煙に覆われた太陽暦第佰九拾捌年の東京。本作が提示する世界は、王道の少年向けアニメ・漫画のフォーマットを借りつつも、根底には濃厚なダーク・ファンタジーの哲学が脈打っている。
シンラが浮かべる不気味な笑みは、極度の緊張に対する生理現象に過ぎない。しかし周囲は彼を「悪魔」と蔑んだ。理不尽な偏見に晒されながらも、ヒーローである着地点を諦めない少年の孤独。この屈折した心理描写こそが大久保作品の真骨頂であり、声優陣には単なるヒロイズムを超えた深みのある演技が常に要求される。