鳥アレルギーの中で最も警戒すべき疾患が、「鳥関連過敏性肺炎(別名:鳥飼病 / Bird Fancier's Lung)」です。これは一般的な気管支喘息(I型アレルギー)とは異なり、鳥の排泄物や羽毛に含まれるタンパク質を長期間にわたって吸入し続けることで、III型およびIV型のアレルギー反応が肺の奥深く(肺胞や間質)で発生する間質性肺炎の一種です。
鳥飼病には急性型と慢性型が存在します。急性型では、鳥と濃厚に接触してから4〜8時間ほど経過した後に、激しい咳、呼吸困難、38度以上の発熱、全身の倦怠感が現れます。一方、微量のアレルゲンに長年晒され続ける慢性型では、微熱や軽い息切れがじわじわと進行し、自覚症状が出た時には肺胞壁が硬くなる「肺の線維化」が進行しているケースがあります。一度線維化した肺組織は元に戻らないため、不可逆的な呼吸不全に陥るリスクを孕んでいます。
注意すべきは、自宅で鳥を直接飼っていなくても発症する事例が存在する点です。典型的な落とし穴が「ダウンジャケット」や「羽毛布団」などの羽毛製品です。劣化した羽毛布団から漏れ出た微細な羽毛粉塵を毎晩吸い込むことで、原因不明の慢性咳嗽に悩まされていた患者が、寝具をポリエステル製に変えただけで劇的に改善したという臨床報告は枚挙にいとまがありません。自宅に鳥がいないからといって安心せず、身の回りの羽毛製品にも警戒を払う必要があります。