大相撲の世界において、力士の地位は文字通り「天と地」の差を生む。十両以上の関取になれば、月額給与をはじめ各種手当や懸賞金、本場所の成績に応じた持ち給金が支給される。これに対して幕下以下の力士には月給がなく、場所ごとの手当が支給されるのみだ。この構造的違いは、力士が土俵を去る際に適用される退職金制度にも直結している。
日本相撲協会が運用する養老金や功労金などの退職金制度は、現役時代の「関取在位場所数」や「持ち給金」の累積によって計算される仕組みだ。関取として長年活躍し、幕内や三役、横綱まで上り詰めた力士には数百万円から億単位の退職給付が積み立てられる。しかし、一度も関取になれずに引退を迎えた大多数の力士には、僅かな養老給付金が支払われるに過ぎない。十代前半で角界に入り、青春のすべてを捧げた青年が、20代半ばで社会に放り出される際の経済的リスクは計り知れない。