東京都内の認可保育園を訪ねると、壁一面に飾られた鬼のお面に目を奪われる。青や赤といった定番の色使いはむしろ少数派。金色の毛糸をふんだんに使ったゴージャスな髪型、左右非対称で5本も生えた角、涙を流す青紫色の顔——。型紙通りに切って貼るだけの作業は、もはや過去の遺物となった。
「以前は先生があらかじめ準備したパーツを組み合わせる形式が主流でした」。そう語るのは、保育士歴15年のベテラン職員だ。「今は『どんな鬼が自分の心の中にいる?』という問いかけから始めます。怒りっぽい鬼、食いしん坊な鬼、ちょっと弱虫な鬼。自分自身の感情を鬼というキャラクターに客観化して落とし込むことで、子どもたちの表現が劇的に豊かになりました」。