リチャード1世に対する歴史的評価は、軍事面と内政面で真っ二つに分かれています。
- 軍事・騎士道面での評価:卓抜したリーダーシップ、自ら白兵戦に飛び込む剛勇、攻城兵器の運用技術など、中世欧州で最高峰の武将としての評価は揺るぎません。
- 内政・統治面での評価:莫大な十字軍遠征費と身代金調達のために重税を課し、イングランド経済を疲弊させた無責任な君主としての批判が根強く存在します。
彼が急死した後に王位を継いだ弟ジョンは、兄が遺した過重な財政負担と領地紛争を引き継ぐことになり、フランス領の大半を喪失。「失地王(欠地王)」と呼ばれ、貴族の反発からマグナ・カルタ(大憲章)への署名を余儀なくされました。皮肉にも、リチャード1世の軍事行動への熱狂が、イングランド立憲政治の礎を生み出す遠因となったのです。