なぜ2月11日という日付なのか。その起源は、日本書紀に記された初代・神武天皇の即位日にまで遡る。日本書紀によれば、神武天皇が大和の橿原の宮で即位したとされる日が「辛酉年春正月庚辰朔」であり、これを明治時代に洋暦へと換算した結果が2月11日であった。
明治天皇の時代、近代国家としての統一感を高める目的で「紀元節」が制定された。日露戦争や明治維新を経て国家の枠組みが急速に整備される中、国家の起源を古代神話の即位説話に結びつける試みは、国民統合の強力な推進力となった。
第二次世界大戦後のGHQ占領下で紀元節は一度廃止されたが、その後、伝統の継続を求める民間団体や「紀元節奉祝事業プロジェクト」をはじめとする有志の運動により、復活への機運が高まった。古代神話を史実とみなすか伝承とみなすかの境界線は、今なお歴史ファンの間で議論を呼ぶポイントだ。