家庭における教育は、厳格な父・佐藤一夫氏と温かくも強固な意志を持つ母・純子さんの絶妙なタッグによって行われた。幼少期からの空手指導や相撲への転向など、息子が踏み出す一手一手において、両親は一切の妥協を許さなかった。勝負の世界の厳しさを誰よりも理解していたからこそ、甘えを排除した環境を整えたのだ。
プロの道へと進み、常盤山部屋に入門してからも、母の祈りが途切れることはなかった。日本相撲協会が主催する数々の本場所において、満身創痍で土俵に上がる息子の姿を見つめる胸中は察するに余りある。激しいぶつかり合いで怪我と隣り合わせの我が子を突き放すのではなく、精神的な安全基地であり続けたことが、大関昇進という偉業の原動力となった。